041/100 indigo jam unit「REALism」

せめて月刊ペースは脱したい。

そう思いつつの41枚目は和ジャズから。

indigo jam unitの「REALism」です。


ウッドベース、ピアノ、ドラム、ドラム兼パーカッションという

リズム隊偏重のカルテット編成のこのバンド。

その編成から想像できる音の通り、極太で濃厚、

そしてブラック・ミュージックにも通じるリズムが

最大の持ち味であるとともに、そのレコーディングは

すべて一発録音+修正無しという完全なライブ感覚で行われ

それゆえにスタジオ盤でありながらもライブ盤のような

緊張感とパワフルさに満ちた作品を生み出し続ける

そんなバンドでもあります。


この3rdアルバムでも、1曲目「Adrenaline」の最初から

ぶっといベースのサウンドに、テンションの高いピアノが絡み

タイトル通りのアドレナリンの沸き立つ楽曲となっているわけですが

ベースが主導権を握るごりっとした曲と、

ピアノが主導権を握るメロディアスな曲の緩急のバランスが良く

前半はパワフルな曲中心(特に「Matador」のスパニッシュなかっこよさといったら!)

後半は静かでメロディアスな曲が中心となっており

熱くなった身体と心をクールダウンさせてくれるような

そんな構成になっているのも、アルバムを通して聴く楽しみになっています。


リズム隊のパワフルさももちろん彼らの魅力ではありますが、

ただのごりごりとしたパワー押しでない確かな技量を感じるあたりに

彼らの人気の理由を思ったりもいたします。

ロック好きの方がまず最初に聴く日本のジャズバンドとして

おすすめしていきたい魅力に溢れたバンドであり

分厚いリズム隊とスリリングなピアノの応酬は

クラブミュージック好きな方にも聴いて頂きたい作品でもあります。

熱さと繊細さを兼ね備えた魅力に、ぜひできるだけいい音で触れてください。

(是非、生で見てみたいバンドでもあるのですが・・・)



テーマ : おすすめ音楽♪
ジャンル : 音楽

040/100 Emerson,Lake & Palmer「Tarkus」

ずいぶん間隔が空いてしまいました。

40枚目のセレクトはエマーソン・レイク&パーマーの代表作「タルカス」です。


元ナイスのキース・エマーソン、

キング・クリムゾンのグレッグ・レイク、

元アトミック・ルースターのカール・パーマー。

このそれぞれ名の通った3人のミュージシャンによって

1970年に結成されたスーパーバンドがEL&Pです。


今回紹介する「タルカス」は結成の翌年、1971年に発表された

2ndアルバムとなっておりますが、実質的には先にライブレコーディングされた

クラシック曲のカバー「展覧会の絵」に続く作品となっております。

(「展覧会の絵」はこのアルバムの制作が始まっていたので本来リリース予定がなかったのが

海賊版流通で急遽リリースすることになった作品だったりもいたします)

エマーソンの演奏するムーグ・シンセサイザーが大きくフィーチャーされた作品となっており

(シンセサイザーを「楽器」として起用したはしり、ということです)

キーボード、ベース兼ヴォーカル、ドラムという編成でありながら

とても鮮やかな音色の作品となっております。


表題曲は組曲「タルカス」として

ジャケットに描かれているアルマジロ戦車怪獣・タルカスの物語が描き出されております。

火山から産まれ、大地を駆け、怪物・マンティコアと遭遇し、戦い、海へと向かう

まるで怪獣映画を見るようなスリリングでスケール感溢れる音世界が広がっており

2010年には吉松隆によって編曲され、東京フィルハーモニー管弦楽団によって

クラシックアレンジされたアルバムも発売されております。

一方、組曲「タルカス」以外の曲に目を向けてみると

ストレートなロックンロールあり、キーボードを中心としたプログレッシブな曲もありと

彼ら3人の個性をそれぞれ発揮したバラエティ豊かな構成になっております。


ギターレスのトリオ編成でありながら、ハモンドオルガンの音を歪ませることで

メロディにハードロック感を出していったり、

「展覧会の絵」でもわかるようにクラシック音楽に深い造詣を持っていたりと

キース・エマーソンが一番のフロントマンであるような感覚も受けますが、

グレッグ・レイクの声、そしてベースサウンドもバンドの重要要素であり

3人の誰が欠けてもこのサウンドは成立しなかったんだなぁと

聴くたびに思わされる作品となっており、

何度聴いても新たな発見に出会える1枚になっております。


この後は3人の方向性の違いなどが鮮明となっていき、

1980年には正式に解散。

パーマーはASIAを結成して世界中で大人気となり、

エマーソンとレイクはコージー・パウエルを加えた

Emerson,Lake & Powell(こっちも略称はEL&P)として再結成を行ったり

92年には元の3人で再結成を行ったり、

2004年にはエマーソンが「ゴジラ FINAL WARS」の音楽を担当したりと

いろいろと紆余曲折を抱えつつも時に再結成、時に個人で音楽活動を続け、

2010年の一夜限りの再結成を最後に、ELPとしての活動をもう行わないことを宣言。

40年にわたるバンドの歴史に(何度目かの)幕を下ろすことになりました。


キング・クリムゾン、ピンク・フロイドに並ぶプログレ界3大バンドとして

外せないバンドと言われる理由が、この「タルカス」と、「展覧会の絵」を

聴いていただければお分かり頂けるようにも思います。

まだ聴いたことのない方には、ぜひ聴いてほしい1枚です。



 

テーマ : おすすめ音楽♪
ジャンル : 音楽

039/100 RHYMESTER「POP LIFE」

39枚目にご紹介するのは、ライムスターメジャー8枚目のアルバム

「POP LIFE」です。


1989年、早稲田大学のソウルミュージックサークルで知り合ったメンバーたちによって

結成され、2MC +1DJの編成となった彼ら。

日本のヒップホップシーンをリードしつづけるだけでなく

宇多丸はラジオパーソナリティ、TV司会者、

そして映画やアイドル評論・・・と多彩な活躍を見せ、

Mummy-Dは元SUPER BUTTER DOGの竹内とマボロシを結成するなど

それぞれの個人活動も充実している、そんな彼らの

メジャーデビュー10周年という節目の年にリリースされたのが

この「POP LIFE」となります。


前作「マニフェスト」(『2010年世界一ダサいジャケットのCD』に輝く作品)から

13ヶ月という驚くほど短い間隔でリリースされたこの作品。

かっこよさを追求したような前作ラストの曲「ラストヴァース」のトラックから

幕を開けるアルバムではあるのですが、

そのアルバムタイトルが挿し示すように、この作品で描かれているのは

あくまで「日常」のひとこまであったりします。


社会や政治の風刺スタンスは影を潜め、

ある意味ダメ人間賛歌的側面もある「Just Do It!」、

「健康」をテーマにした「ほとんどビョーキ」、

ご近所トラブルをテーマにした「ザ・ネイバーズ」、

ネットなどで語られる陰口に対するアンサーソングw「余計なお世話だバカヤロウ」と

ユーモラスな側面の曲が多くなっている1枚でもあります。


その一方でシリアスなナンバーも収録されています。

育児ストレスを題材にした「Hands」、

人間賛歌といえるタイトル曲「POP LIFE」、

日本語ラップを続けることに対する意思表示「Born To Lose」、

日常をたたえる前向きシングル曲「Walk This Way」。

・・・そして「そしてまた歌いだす」。


2011年3月2日発売(入荷は1日)のこのアルバム。

入荷日から10日、実際に「歌ってる場合じゃない世相」はやってきてしまいました。

その世相の中、何のダメージもなかったここ九州でも、

音楽を聴くこともなんとなく自粛してしまう、そんな空気になっていました。

そんな震災から1ヶ月弱が過ぎ、その中で聴いたこの曲が

恐ろしいほどこの胸に刺さってきました。

この曲に歌われていたのは、そんな世相の中での「音楽の持つ力」。

厳しい世相に正面から向き合い、そこに「歌ってる場合ですよ」と

回答を正面からぶつけてくる、彼らの意思表明でした。


彼らは自粛ムードが続く夏にも「色々あったけど今年の夏は今年にしか来ない」と

2011年のサマーアンセム「フラッシュバック、夏」をリリースし、

騒がしく(イケてなかったけれど)楽しかった夏への回想を歌っています。

「震災のダメージが残る中、不謹慎ではないか」と思う向きもあったでしょうが、

その答えを導き出すまで真摯に悩んだ結果が現れた1曲でもあったように思います。


話を本作に戻して。

サウンド面に話を移すと、この作品では曲ごとに様々なプロデューサーを起用し

曲ごとに色彩の違いを見せながらも2MC+1DJの魅力を引き出す作品となりました。

その分統一されたカラーがないことに不満の方もいるかもしれませんが、

それぞれの曲ごとに彼らの新たな側面を見ることができる、そんな試みであったように思います。


日本語ヒップホップのトップランナーが作り出した、

日々の生活を彩り豊かなものにしてくれる、そんな1枚として

一人でも多くの方に聴いて欲しいアルバムです。


テーマ : おすすめ音楽♪
ジャンル : 音楽

038/100 James Brown「40th Anniversary Collection」

3月最初の1枚は、こちらの作品を。

キング・オブ・ソウル、ジェームス・ブラウンのベストアルバムです。


貧しい家庭に生まれながらも高い歌唱力に恵まれていた彼。

若い頃は犯罪に手を染めたりもいたしましたが、

1956年、フェイマス・フレイムズの一員としてデビュー

(このアルバムはそれから40年を記念してリリースされました)

そして60年代にファンクミュージック路線を確立し、

70年代、バックバンドのメンバーの大幅変更により

ブーツィー・コリンズなどのメンバーを迎えた「JB's」の誕生、

そしてファンクサウンドの全盛期を迎えます。


その音楽性がディスコブーム時代には「古い」と揶揄されたりも

していたものの、ステージアクトのタフさなどに支えられて

80年代には人気を回復、2006年12月25日の死の目前まで

ステージに立ち続け、そのパワフルな歌で世界を沸かせてきた

そんなファンクの帝王の足跡をまとめたのがこの2枚組アルバムになるわけです。


デビュー40周年、すなわちその死の10年前にリリースされた作品ですが

「Papa's Got A Brand New Bag」、「I Got You(I Feel Good)」、

「Get Up (I Feel Like Being A) Sex Machine」といった代表曲は

もちろん完全網羅、さらに年代順に収められているので

1曲目の「Please,Please,Please」から聴いていけば

そのままファンクという音楽の歴史が辿れてしまうような

40年を40曲に集約した作品。

この後もベスト盤は数々リリースされておりますが

ボリューム、聴きやすさを考えればこれくらいがいいのかな、と

思ってしまいます(もちろん、20曲くらい収録のベストも手軽なのですが)


一度流し始めればノンストップで踊り始め、

汗の飛び散るダンスフロアになってしまう、そんな作品。

踊り疲れて倒れても、誰かにケープを掛けてもらえば

たちまち復活してしまうことでしょう。

現代でも時代を超えて通じてしまう、

ダンスミュージックのスタンダードたちをじっくり味わってください。




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ジャンル : 音楽

037/100 FROG「EXAMPLE」

37枚目はこちらの作品を。

元Cymbalsリーダー、現SCOTT GOES FORメンバーであり

ゲーム、TVCMなどへの楽曲提供でも知られる

沖井礼二のソロプロジェクト・FROGの1stアルバムです。


Cymbals解散後、シンガーであった土岐麻子はソロ活動を行っており、

ドラマー・矢野博康はプロデュースなどで活躍、

リーダーであったベースの沖井は楽曲提供などの仕事を中心に活動していましたが

時々行うライブ以外の表立った活動は行っておりませんでした。

Cymbalsサウンドを牽引していたそのポップセンスは

裏方仕事として発揮されてはいましたが、

表立った活動が待たれる状態でもあったわけです。


そんな彼がソロプロジェクトとして2006年から始めたのがこのFROGでした。

その名前は彼が愛するカエルから名づけられ、固定シンガーを置かないプロジェクトとして

彼がCymbalsや提供曲で発揮してきたややねじれたポップセンスを

前面に出しての活動を行い、そして2008年にこの1stアルバムをリリースしたわけです。


先行シングルとしてタワーレコードとHMVでそれぞれ限定シングルを発売し、

アルバム内容を垣間見せてのリリースとなった今作。

ジャケット等のアートワークも

Cymbals時代にアートディレクションまで担当していた沖井のカラーが出た

スタイリッシュな作品となっております(ジャケットはヤドクガエルのアップですね)

サウンド的にもCymbals時代の延長線上にある

疾走感のあるポップスが中心となっているわけですが

(特に女性ヴォーカル曲にその傾向が強いように感じます)

Cymbalsよりも一層ディープなサウンドとなり

深みを感じられる濃密な作品となっております。


FROGとしては翌2009年に2ndアルバム「Caricature」をリリース後

リリースは現在停止しておりますが、

沖井はnorthern brightのメンバーたちと新バンド・SCOTT GOES FORを結成。

ロックンロールの初期衝動をぶつけたような楽しさが伝わるサウンドを

響かせてくれている他、アイドルや声優への曲提供では

Cymbalsテイストを漂わせながらもさらにポップでキャッチーな楽曲を書いており

2012年もその活動に注目したいアーティストといえるでしょう。



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